脱・クルマ社会へ


「野幌駅周辺まちづくり事業」で、江別市建設部に提案した意見


今回、このような素晴らしいホームページを作成・公開され、かつ市民の意見を募集された事は非常に画期的な事であり、心から賛辞を送りたいと思います。
私もしっかりホームページを拝見させて頂きました。ホームページ全体の出来はかなり良く、表現力もありアピールできるものと感じました。文章も平易な表現が中心で、時おり専門用語が見られるものの、一般的な市民にもかなり理解できる内容と感じました。お役所文書にありがちな難しい用語や言い回しが少なく、私も割合すんなり読む事ができ、また画像等も多かったので、「何をしたいか」「何を表現したいか」が比較的良くわかったような気がします。
さて、私の「野幌駅周辺まちづくり事業調査」への意見を、「積極的に推進して頂きたい事」「注意しながら推進してほしい事」「なるべく再考して頂きたい事」に分けて述べさせて頂きたいと思います。

1.積極的に推進して頂きたい事

(1)グリーンモールの充実と、歩行者ネットワークの充実
野幌駅周辺を中心に緑の整備を行い、かつ、歩行者中心の道路のネットワークを作成して下さるとのこと、将来を見通した素晴らしい街づくりに通じると思います。是非とも推進して下さい。 HPの図では、どの程度の豊かな植栽を作られるのか、よくわかりませんが、是非ともありきたりの緑でなく、市民の協力を得ながら、江別の地場の多年草(例;ネジバナ、エゾエンゴサク、エンレイソウ、ニリンソウ等)を復活させる花壇や、低木・高木の種類を多く取り混ぜた豊かな緑地の実現をお願いいたします。
こんもりとして、色々な種類の植物が息づく緑地帯は豊かで、車の騒音や排気ガスを十分和らげまた、人の心に言い知れぬ安らぎとうるおいを与えます。また、そのような緑地はそこに住む虫・鳥の種類も多くなり、通学の子供の好奇心や研究心を育て、散歩する大人の楽しみと潤いともなります。
また、歩行者中心をはっきりとさせるゾーンでは、ぜひ、歩道と車道が交わる所に、歩道の方に高さの連続性を持たせ、車が起伏をあがりさがりする設計「ハンプ」を試みて下さい。これは、その道路が歩行者中心である事をはっきり示すものであり、車の走行速度を低くする効果と、歩行者の満足感・安全感が得られます。
歩行者ゾーンの車の走行速度を落とす工夫は、その他にもいろいろ豊富な事例があります。詳しい事例が、「脱・クルマ21」(生活思想社)1〜3という雑誌に豊富に掲載されております。ぜひ読んでみて下さい。
また、歩行者ゾーンや緑のネットワークには、是非水辺の創出を意識して付加して頂きたいと思います。現在、野幌・江別間の国道12線ぞいは、江別市の中で一番乾いた潤いのない感じがします。子供が遊び、市民が歩いて楽しい「変化」を持たせるためには、水辺が一番かと思います。その際も、いかにも人工的な水辺だけでなく。自然に近い水辺の創出も試みて頂きたいと思います。きれいな水があり、水草・花が生い茂り、緑豊かな木々の影には魚が潜み、所々蛇行するような浅いけれども変化のある水辺を是非とも作って下さい。
できるなら、近い場所に住んでおられる市民の協力を得て、保全とより良い環境の創出に力を頂ければと思います。観光のスポットにもなるでしょうし、市の誇りともなるでしょう。

(2)自転車への配慮
計画にはあまり自転車への配慮が表現されていませんでしたが、将来の交通を見通す上で欠かせないのが、公共交通と共に自転車があります。 自転車の有用性は江別環境広場のWebの
「真に効率が良く、しかも環境に優しい交通・・・それは自転車 」
でも述べておりますが、自転車は環境に極めて優しく、かつ効率的な交通システムとして見直すべき時に来ていると思います。
是非、歩行空間だけでなく、自転車空間やその利便性にも配慮した街づくりを行って頂きたいと思います。
まず駅前や江別市内の各施設に思い切って広い自転車置き場を作って頂きたいと思います。更に、歩道には歩行者や車イスの方と自転車が楽にすれ違える幅が必要だと思います。自転車同士や自転車と車イスが楽に歩道上ですれ違う為には、幅が4メートル以上必要です。更に余裕のある緑地帯を1〜3メートルの幅で付けると、まさに歩行者・自転車中心の道路、緑のネットワークにふさわしい景観と機能を有する事ができると思います。

2.注意しながら推進してほしい事

(1)屋根付き多目的ガーデン、市民広場
この施設やアイディア自体はとても良いと思います。このようなコンセプトで作られた駅付帯の「冬でも暖かく、居る事自体が楽しい滞留空間として」屋根付き多目的ガーデンは、ユニークといえますし、江別らしさを思い切り出せるもの思います。
但し、HPの絵ではとても大きな施設のように見えたのが気になりました。あれだけ大きなものですと、費用もかかりましょうし、それだけの費用対効果が得られるかどうか、心もとない面もあるような気がします。その辺り、しっかりと市民のニーズや女性を中心とした新しい発想、費用対効果をよくバランスを取って、無駄のない施設を造り、「市民広場」と連携して、「朝市」やその他いろいろ活発な市民活動のバックボーンとして生きた施設となるよう、設計して頂きたいと思います。

(2)野幌駅付近のマンションの集積
今までのような、より土地の安い場所に住宅地が拡散してゆくような開発では、クルマの依存度が高まり、商店街の衰退と広い駐車場を持つ大規模店舗に人が集まる傾向や、クルマ通行量が増えて、排気ガスや騒音、交通事故等の対策に頭を悩ませなければなりません。 このように駅前に高度にマンションを集積されると共に、駅前の商店街の魅力をアップする事は将来をも見越した、一挙両得ともいうべき良い考えともいえます。 ただし、マンションの持つマイナス面を十分考慮した上で誘致する事が必要と考えます。マンションは駐車場不足による違法駐車、ごみ出しのマナーの悪さによる地域への負担、高層建築による威圧感があり、デザインや緑地のバランス等も考慮して誘致しないと、大変品の悪い街なみとなり、始末に負えません。是非とも、景観・デザインの良さや緑地を十分取る事に留意し、また駐車場も余裕を持って確保し、またすぐに実現する完全資源リサイクルに対応した、ごみ・資源・堆肥分別システム等に対応したマンションを優先する等、計画・条件をあらかじめしっかりと設定する事が必要だと思います。

3.なるべく再考して頂きたい事
HP中、環状道路を整備するとありますが、道路を整備すればするほど、車を周辺から呼び込む事になるとは、今までの歴史が示す真実です。いわば、道路を整備→車が増えて道路が窮屈→更に道路を整備の拡大を行ってきたのが今までの歴史です。これからの政策は、車に依存し過ぎていた交通体系を見直し、鉄道・船舶・自転車・バス・歩行への移行を目指す傾向があります。その中で、道路整備は慎重に行うべきです。
歩行者の目から見ると、片側2車線以上の道路は、車のスピードが出やすく、車線数が増えれば増えるほど、マナーの悪い車が多くなるように見受けられます。道路整備は安全施設の充実や緑地帯・歩道の拡充の方向で行ってほしいと思います。
むしろ、サイクリングロード等を整備して、周辺の自治体との親睦を測ったら良いのではないでしょうか。これ以上、車は増やすべきではありません。また、車の為に道路を拡幅すれば、その構造が環状道路であれ、必ずその利便性故、車の通行量は増える事が確実と思います。