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☆ 手織りの里 金剛苑 訪問記 ☆

9/15に滋賀県の金剛苑を訪問しました。
閑静で竹や緑の濃い風景の中、古風な建物、お店の片隅で鳴く松虫の音、しっとりとした空間に展示販売されている手織りの布や手織り布の製品、麻や苧麻のハンカチ・・・



藍の花、機織りや糸つむぎの道具などの展示が豊富な資料館、栽培されていた苧麻と、苧麻を裂いて繊維の取り方を見せて頂いたことなど、とてもたくさんの感動を頂きました。

・正藍染め体験記
・資料館
・機織り工房と店内

☆正藍染め体験記

藍染めの為に本麻のハンカチをたたんで、紐で結びました。私はじゃばら型にたたんで、放射状に模様が出る方法を選びました。説明はとてもわかりやすく、すんなりとすぐ結ぶことができました。

次は藍がめの部屋にゆきます。藍がめは12個くらいだったと思います。部屋の中の土中に埋めてありました。染めそのものは、支配人さんが行いました。その染めを行いながらの藍の説明をしてくださいました。藍がめの部屋には、すくもとおがくずをいぶした香りがありました。



すくもは徳島から仕入れておられるとのこと。すくもが作られなくなったのは、化学藍の発明が一番大きかったそうです。すくもは天日乾燥した藍を、水をかけながら熱を持たせて何度も切り返して作るそうです。できたすくもを拝見しましたら、少し固まりかけた土のようでした。
この切り返しのタイミングと温度管理が難しく、すくもの製作が秘伝と言われるゆえんなのだそうです。

藍は、まず淡水貝の粉末と水でPH14の液を作り、そこにすくもを入れ、微生物でうまく発酵するようにえさとなる日本酒とふすまを入れます。金剛苑さんでは絹を染める事が多いので、生地が痛まぬよう、すくもを通常の倍くらい入れるそうです。ph12が、微生物が生きていて藍がくさらず、かつ繊維に藍が染まるぎりぎりの所なのだそうです。

藍が腐らないようにするために、1日の最後に藍を攪拌します。すくもそのものが布に着くと、染めむらになるので、かくはんしたての液は使えません。また、明日染めに使う藍は、前日夕方に藍の花を立てます。藍の花を立てるのは、泡を集めておいて、染める前にすくい取りやすくするためだとか。

その藍の花を見せて頂きました。たとえようもない美しいもので、生きている命の染料なのだなぁ・・・と思いました。生きている自然の染料で衣類を染めることの幸せを感じました。

藍の花は藍色を基調に虹色を加えた小宇宙の泡の集合で、藍色の丸い宝石の花とでも表現したら良いのか、うまく言葉にできません。ほんとに美しいものです。

藍は顔料なので、防寒の働きがあることや、体からの熱放射を遮って毒蛇よけになる、また殺菌作用があることなどもうかがいました。

藍を味わうこともできました。ちょこっと指先に付けてなめてみました。注意深く味わうとかすかな甘みを感じました。この藍の液を飲むと胃腸の調子が良くなるそうです。
飲んでも大丈夫な液できれいにしっかり染まることのうれしさ。

化学藍を混ぜてない藍は、布を引き上げた時に、一瞬茶色になるのだとか。化学藍が混じっていると、引き上げた時に緑色になるのだそうです。その後両方とも藍色になって、藍色に染まってしまったあとは、見分けがつきにくいそうです。日本で化学藍の混ぜもののない藍染めをしておられる所は10数カ所しかないそうです。

お話を伺いながら、何度も空気中に引き上げてまた染めを繰り返すうちに本麻のハンカチが染め上がりました。染め上がったハンカチは、しぼって軽く水で洗って、ぎゅっとたたんでビニール袋に入れてもらいました。今晩、また軽くせっけんで洗って、水ですすいで干して乾けばできあがりということでした。

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