有機農家紹介「砂川 義和さん」


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砂川さんの有機農場の写真

砂川さんからお聞きしたお話の要約(効率・利潤追求農業の弊害)

1.特定品種の繁栄の裏にあるもの・・・作られた大型機械の需要

 自由化に生き残る農業育成という事で、一律に大規模・効率化、ブランド品種の栽培などが推進されてきましたが、 これは、色々なひずみを生んでいます。 たとえば、米を例に取ってみましょう。きらら397が消費者に好まれるという 事で皆が作るようになりましたが、これは、品種による栽培適期が限られるため、一地域で育苗や田植えが一斉に、大体 同じ時期に始まるようになりました。するとたんぼの水張り時期も皆が一斉に水を汲み上げるため水位が下がって、同じ 面積の田について、昔は200町歩の田で、70馬力のポンプ1台ですんでいたものが、今は100町歩の田に、75馬力のポンプ 3台が必要になりました。代かきも、自分のところの田を全部を短期間に終えなくてはならないため、やはり大型機械が 必要になります。

 この調子で、全て大型機械が必要になるのです。昔は、いろんな品種を植えていたので、全ての作業が奥手・中手 ・早稲に合わせて少しずつずれて、人力と牛の力で結構色々な作業ができましたが、一品種のみの田でそれはできません。 これは、農家の経営を圧迫する原因の一つになります。(江別の農家は平均3000万円の負債をかかえていると言われてい ます。これは決して例外的なものでなく、全国では、もっと高額の負債農家がたくさんあります。負債の原因は、これに 加えて農薬・肥料代、更に大きいものとしては、建設省の推進する小規模河川改修協力金や、土地改良事業や水資源開発 協力金があり、農家として必ずしも必要でない事業にお金をださざるを得ないケースが多々あるようです。)

 また、代かきのあとは、一斉に多量の泥水を排水するので、川の水の汚染もひどくなります。通常の農法では、水を 落とすまでに何回も除草剤を使うので、泥水には大量の除草剤が含まれています。

2.自然の産物である作物に合わせた生活をして下さい

 このように、もうかる商品作りという事で農作物を作ると、自然界や、農家にいろいろひずみを生じてきます。野菜 を例に取れば、形の良さ、大きさのそろい具合、虫食いはないか、ブランド産地かということで、値段や売れゆきが決まる となると、農家もそれにあわせて無理をして作物を作るようになります。例えば虫や病気の害、連作障害などを農薬で解決 しようとしたり、天候が悪くても化学肥料で水ぶくれさせた、見た目のよい作物を作るようになるのです。

 私のお客さんは、自然に合わせてできた作物を多くても少なくても、大きいのも小さいのも受け入れて買ってくださる ので、とてもありがたいと思います。農作物は工業製品とは違います。規格という工業的な概念はなじみません。その年の 日の照りぐあいや気温、雨、土の栄養などのめぐみで、作物ができあがってくるのです。天候に関係なく一定時期に一定量 必ず納めなさいとか、規格なるものを勝手に決めて、それ以外の品物は買えないなどと言われては、農業は無理・無駄を抱 える事となります。野菜の値段には、規格外として捨てられた作物の値段も入りますが、規格外といっても味はおいしいし、 形なりに立派な使い道があるものですから、捨てずにもっと流通できるようにするべきだと思います。

 一つ一つの作物をもっと大事に、もっと自然と地域に合った農業を行うべきです。やみくもに機械や薬の力に頼らず、 耕作面積や気候風土、地域の特性に合わせて工夫した農法を行うべきなのです。そうすれば、色々な無理や無駄がないので、 農薬などをほとんど使わずに自然に農業ができるでしょう。

 農薬や化学肥料を多用する専門化しすぎた農業は、有機物が循環しないので、太古から蓄積された土地の力をただ収奪 します。農薬によって生態系のバランスはくずれ、草すら土に返らず、落ち葉や糞尿などの供給もなく、土中の有機成分は どんどん減って固く荒れた土になっていきます。こんなことを続けていれば、数十年後、日本の土地は荒廃してしまいます。 そうなる前に良い方策がとれるよう、今から考える必要があるのではないでしょうか。